スペイン内戦の記憶
プーチン戦争は、第二次大戦を東西逆にして展開しています。資本主義社会において自らネットワークから外れた国がどうなるか。戦車も飛行機も、信用と成長の産物であって、それには国際交易が必要です。プーチンが期待できるのは「今持っているもの」と核兵器のみです。ウクライナ人とその大統領は、不利ではあるが戦うと表明し、我が国を含め各国が支援を約束しています。
外国人義勇兵の話が出たとき、私はジョージ・オーウェルの論説を思いだしました。彼はスペイン国粋派(フランコ派+ドイツ軍・イタリア軍)に抗して国際旅団に身を投じ(追記ー実際にはマルクス主義統一労働者党)ました。前線で撃たれて負傷しています。
オーウェルはスペイン内戦を以下のように振り返っています。、
なぜなら、真理は極めて単純なものだ。生きるためにはしばしば戦わなければならないし、戦うためには手を汚さなくてはならない。戦争は悪だが、ときにはもっと大きな悪もある。剣を執るものは剣によって滅びる〔「マタイ伝」二十六章五十二節〕が、剣を執らないものは業病で滅びる。
新装版オーウェル評論集1「スペイン戦争回顧」 平凡社 2009年 P.62
戦争は技術的に低い水準で戦われ、主たる戦略もきわめて簡単だった。要するに武器を持っている方が勝ちなのだ。ナチスとイタリアはスペインのファシストの盟友に武器を与え、西欧民主主義諸国とソヴィエトは彼らの友となるべき人々に武器を与えなかったのだ。かくしてスペイン共和国は滅びた―(中略)共和派に勝ち目がないと分かった後も抗戦を続けるように激励することが正しかったかどうかは、にわかには断じがたい問題である。私自身としてはそれは正しかったと思う。なぜなら、生存という見地から見ても、戦わずに降参するよりは戦って征服されるほうがまだしもましだと信じるからである。
新装版オーウェル評論集1「スペイン戦争回顧」 平凡社 2009年 P.85
第二次大戦終結からもうすぐ80年ですが、歴史の教訓は生きていました。「中立などない」と。また、最初の一撃(実際はクリミア半島ですが、国レベルでは)を確実に阻止しなければ、独裁者は止まらないと。私が祈るのは、追い詰められたプーチンが核兵器を使って多くの人々を道連れにしないことです。
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が素晴らしい文章を投稿されていたのでリンクを張ります。みんなもう読んだと思いますが。1940年代なら、海の向こうのことをこんなに早く知ることはできなかったはずなので、インターネットに感謝します。
web.kawade.co.jpあと「軍歌」を。(追記)